sábado, 16 de agosto de 2014

ハイメ・サエンス『ラパスの像』をめぐって

ラパス市に住み、ラパス市を愛して酒を飲み続けたハイメ・サエンス(Jaime Saenz、1921-1986)という詩人・作家がいた。20世紀のボリビアにおいて傑出した詩人であり作家でもあったことは確かだ。私は以前からこの人の書いたものが気に入っていて、少しずつ読み進めている。

ずっと長いことこの人の作品は入手することが難しく、古本屋を丁寧に回らないといけなかったのだが、ボリビアのPlural社が一つ一つの作品を再刊(・部分的に新刊)する作業を進めてきた結果、ずいぶんと見通しが良くなった。

下の写真は2012年に再刊された『ラパスの像(Imágenes Paceñas)』。初版(1979年)では本の大きさに合わせるためにカットされたり縮小されていた写真を、この第2版では完全な大きさにして掲載しているとのことだ。
Plural社から第2版が出たJaime Saenz. Imágenes Paceñas.
昔読んだときに、他のものに比べて文章が薄いような気がして、そのままにしておいたのだが、今回読んでみるとやはり濃密で、特に序文はサエンスらしさが存分に発揮されていて、「よっ名文!」と叫びたくなるように思う。

分かったのは、どの地域を扱うかで思い入れに濃淡の差が出て来るらしいことだ。彼の得意分野はラパス市の旧市街、中でもムリーリョ通りからチュルバンバ(アロンソ・デ・メンドーサ広場)を抜けて中央墓地へと至る部分、そしてハエン通りからリオシーニョ広場へと至る部分だ。しかしながら、面白いことに、同様に濃密な雰囲気を漂わせていると私は思う、中間層の住むソポカチ地域については、サエンスは観光ガイドみたいなことしか書いていない。またもう一つ不思議なのはムリーリョ中央広場の扱いで、私はあそこからラパス市役所にかけての辺りはとても怖い場所だ、亡霊的な場所だと思うのだが、サエンスはそのようなことに触れつつも、やはりこの部分の記述も弱い。私はかつてソポカチ地区に長いこと住んでいたので、昔はそこから勢い込んで読んで、そのまま失望したのであったらしい。

文学をやる人と人類学をやる人の生息地域は異なってくることが多く、私はサエンスの活動地域よりも、ラパス市の両側面のもっと上の方にも基盤があるのだけ れど、さてそれにしても私の現実はどういうことになるのだろうかな。

ボリビアの文学雑誌La mariposa mundialは、2010年(第18号)のハイメ・サエンス特集に続いて、2013年(第21号)も補遺のような形で未発表の詩に加えて幾つかの論考を掲載している。


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