jueves, 28 de febrero de 2013

政治の季節から経済の季節へ?

昨年2012年に11年ぶりに実施された国勢調査の結果が明らかになると、もう少し細かいことが分ってくるかもしれないのだが、ここしばらくどうも景気がいいのではないか、しかもその景気の良さが社会階層としてはかなり下の方まで利益を得るような形で進んでいるのではないかと思わせる。

これはペルーの高成長が海岸地域(コスタ)に集中していて、アンデス(例えばクスコ)にいると全く感じられないように思うのと、対照的だ。(ただし、これはちょっと気を付けないといけなくて、プーノの近くのフリアカで興隆しているバッタもんを含めた製造業の活況を私はあまりよく感じ取っていない。)

ホルスト・グレーベ(Hörst Grebe)が28日付の論説記事で述べているが、ボリビアではおそらくアイマラ出身の都市中間層の拡大が起きている。
(Hörst Grebe. 2013 "Las capas medias emergentes." La Razón, 28 de febrero.)

彼の挙げる要因にさらに幾つか加えながら述べてみると、エボ・モラレス政権は誕生以来複数の社会給付金の新設(妊産婦に対する給付金Bono Juana Azurduy)と増額(高齢者への給付金…それまでのBonosolがBono Juancito Pintoへと名前を改めた)を行った。天然ガスと石油部門への税金の大幅引き上げにより、地方自治体や大学などの予算が大きく拡大し、特に公共事業は毎年執行しきれないほどの予算を獲得している。これと併せて天然ガスのブラジルとアルゼンチンへの輸出は拡大基調にある。スペインの不況などはあるが、移民している人々からの送金は重要であり続けている。麻薬取引と密輸は拡大傾向にあり、そこからの収入が社会に還流している。そして最後に、エボ政権下で政府と官僚機構のポストの民主化が起こり、それまで政治権力にアクセスできなかった人々が議員になったり省庁や地方自治体に入ったりするようになった。

カルロス・トランソ(Carlos Toranzo)は昨年、現在のボリビアの経済を、国家資本主義の復活とその下での民衆ネオリベラリズム(新自由主義)の組み合わせだと特徴づけ、アイマラ先住民が密輸を含めた移動と商業で生計を成り立たせようとする動きを、植民地時代以来続いてきた傾向だと指摘した。
(Carlos Toranzo Roca. 2012. "Neoliberalismo popular." Página Siete, 26 de junio.)

人から聞く話だが、大工さんの仕事への需要が高まっているらしい。色々な工事現場へ引っ張りだこで、給料もだいぶあがっているらしい。今色んなところで建築ラッシュで、ラパスでもビルやマンションの建築が進んでいる。これは一部には麻薬取引や密輸と関連した資金洗浄があるようだが、おそらくそれだけでもないだろう。そういえば、私が住んでいる家の前は、配管工(plomero)や電気工(electricista)などが、PLOMEROなどと記された鞄を持って朝に並んでいたりする場所でもあるのだが、最近朝待ちぼうけをしている人をとんと見なくなった。

ボリビア社会を特徴づける差別や分断がなくなったわけでは全くないのだが、政府や官職に入れるようになったというのも、経済的な面を含めて現政権への強い支持の背景にあるように思う。これは周りの人々を見ていてよく思う。まあ色々文句はあるけど、しょうがないじゃん、という感覚だ。また、社会紛争が減っているわけでは必ずしもないのだが、「自分たちの政府だ」という感覚が、各種社会組織の政治的な自信につながっているというのは、どうもその通りだと思う。「政治的エンパワーメント」というのは、まさにこういうことを言うのだろう。

私自身は、以前にも何回か書いているけど、このエボ・モラレス政権が政治・行政改革の面で先住民の味方ではないという特徴に着目していて、批判的立脚点を探そうとすることの方に関心があるが、これは別の意味で大多数の先住民の(人々の・民衆の)政権でもあるということなのだろう。そして、現状はこの両方の面を視野に入れないとうまく理解できないように思う。

そしてもう一つ、私は2000年から始まった「政治の季節」がいつまで続いて、いつになったら「経済の季節」となるのだろうか、少し言い換えるとひょっとすると政治の季節がいつまでも続くのだろうかと思っていたのだが、エボ・モラレス政権成立を契機として、しかもそれ以前からも続いてきていた経済の動きが、やっと表面化して人々の意識に捉えられるような局面にあるのかもしれない。そして人々はこれでいいと思い、しばらく続いてほしいと思っているかもしれない。

現在2014年の総選挙に向けて、エボ・モラレス大統領は一旦は諦めた再選を目指す意向を明らかにし始めているが、このような状況もこの再選問題に影響してくるのかもしれない。

domingo, 24 de febrero de 2013

トウモロコシ「仕事」と乾燥させるアンデスの食文化


ここボリビアでは2月は「狂った2月(febrero loco)」と呼ばれ、雨がざんざか降るのだが、カルナバルが終わると急に晴れ間が広がるようになる。雨が降っている間にせっせとトウモロコシを収穫して、フミンタ(ウミンタ)を作ったりしていたのだが、この時期になるとこうやって残りのトウモロコシを広げて乾燥させる。

この目的は二つある。

一つには、アンデスの食文化は、乾燥させることに一つのポイントがある。気候の恩恵を受けてのことなのだが、ジャガイモを乾燥させてチューニョ(ch'uñu)やトゥンタ(tunta)を作るだけでなく、トウモロコシを乾燥させて粒をバラバラにしておいて、後で茹でると、モテ(mut'i)と呼ばれる料理になる。

果物だって乾燥させるので、今この家でも落ちたり鳥に食われたりした桃(durazno)が、そっと片隅で乾燥させられている。これはキサ(k'isa)と呼ばれるもので、石のように固くなって、あとで煮出して砂糖で味付けをして、飲み物になるのだ。桃のキサから作るのはモコチンチと呼ばれる。

ちなみに下の写真は桃のキサを作っているところ。水分の多い梨(peramotaと呼ばれる)も転がっている。


そしてこちらはその梨を輪切りにして乾かしているところ。


そしてもう一つは、今年のための種子もここから採るのだ。こうしてまた次の年のサイクルがまわり始める。

辰巳芳子さんが「梅仕事」という言葉をよく使っている。そういえばこうやって一連の作業をして、いろいろな形で丁寧に利用し尽くそうとするのは、「仕事」という言葉がふさわしいように思う。

アンデスの真っ青な空を見上げながら、「またもうすぐ冬になるねえ」という言葉が出てくるようになる、アンデスのカルナバル明けの2月終りはそういう季節だ。

ちなみにフミンタ(ウミンタ)には二種類あって
これは鍋で作る蒸しウミンタ(huminta a la olla)

こちらがオーブンで作る焼きウミンタ(huminta al horno)

lunes, 11 de febrero de 2013

カルナバルの季節

ボリビアは(も?)カルナバルの真っ最中で、すべてが開店休業状態だ。ボリビアといえば、オルーロのカルナバルが全世界的に有名で、そして私も二回踊ったことがあるのだけど、ここラパスでも小規模ながら踊りの祭典が月曜日に行われます。今年で二回目の参加になった。

ここ数日のあいだ練習したり踊ったりしていて気付いたことを幾つか書き残しておこう。

チュタ(Chuta)と呼ばれる踊りがあって、ラパスではカルナバルの最後の日曜日(Domingo de tentación)に大々的に踊られるのだけど、これは何かをデフォルメしたような感じの衣装と金管の楽隊(banda)はいかにも都市的な踊りなのだけれど、実際の踊り方は行進のし方も女性の回し方も村の踊りにとてもよく似ていると思う。これは元々都市に出てきたアイマラ移民の踊りとされているのだけれど、確かに実際も都市と農村のちょうど中間のような形なのかもしれない。2007年のカルナバルで踊ったことがあるのだけど、そのときは全然気づかなかった。

シクの音楽というか、アンデスの管楽器全般は、アンデスの風を表している音だよなあとずっと思っていたのだけれど、そうではなくて、アンデスの風の響きを自分たちのものにしようとする、微笑ましい人間の努力だと考えるのがいいかもしれないと、演奏を間近で聞きながら考えていた。

音楽に真摯な人を見ると、とても参考になる。それはその人のたたずまいと、覇気のようなもの、物事にまっすぐ向かっていく感じだ。

踊りに向かう際に、横で「街を活気づけるためにね(para animar la ciudad)」と言った人がいた。この言い方は好きだなあと思って覚えておいた。

街の中心部で偉い人たちが観覧している部分(パルコ、parco)を踊りながら通り過ぎる際に、エケコ(アンデスの豊穣の神、下記参照)を見たというか、エケコが一人いたような気がするのだが、あれはなんだったのだろうか……。