miércoles, 17 de agosto de 2016

テレフェリコが可能にするラパスの街の新しい空間感覚

 
ボリビアの現政権はインフラ投資を中心とした公共事業に大きな力を入れているが、行政上の首都ラパス市に滞在していて、すぐにその違いが目に入るのは、公共交通としてのロープ―ウェイ(スペイン語ではテレフェリコteleférico)のネットワークの整備である。

高山都市ラパスは空中都市でもある。植民地時代、南のポトシ銀山と北のクスコを結ぶ線上の高原地帯のすぐ脇に、風と寒さを避けられて標高のわりに温暖な、大きなすり鉢状の谷の入り口があったことが、この街の発達につながったのだと思うが、アンデスの他の都市と比べてもとにかく傾斜が厳しく、坂道が険しい。高原の上にあるエル・アルト市の国際空港は標高約4100mのところにあるが、ラパス市の中心は約3700m、南部にある富裕層の居住地区は約3300mで、400m~800mに及ぶ高低差を一望しながら日常生活を人は送ることになる。

高所恐怖症の私は、このテレフェリコができてからしばらくの間、これに乗るのを怖がって、周りの友人たちや家族から勧められても拒否し続けていた。しかし、あまりに笑われるので、ある日意を決して乗りに行った。そしてはまった。

怖いのは怖い……のだが、建設したドッペルマイヤー社はヨーロッパのこの分野の大手だから、とりあえず信頼するとしようか。

テレフェリコに乗って街を横切る(縦切る)感覚には明らかに全く新しいものがある。言葉にしづらいのだが、空中都市を空中から体験する感覚、と言ってみようか。エル・アルト市の頂上の駅から、車の場合のようにすり鉢にへばりつくようにして遥か下へおりはじめるのではなく、垂直に400m下に向かって一気に投げ出されるようにして斜面を垂直におりていく。街全体に包まれるように浮かび、そしてアンデスの高い峰々と深く切れ込んでいく渓谷を周囲に一望する。これが、あくまでも日常の交通手段として提供され、利用されるのは、街に新たな視覚と感覚を与えるものだと思う。

ただし、街の真上を通るので、家がテレフェリコの真下に当たった人々は災難だなと思う。何せ高い塀で目線を遮ったとしても、上からは中庭や生活の諸相が丸見えなのだ。抗議運動が起きそうなくらいだが、出歩く側からすると人々の生活が新たな角度から見えてテレフェリコに乗る魅力の一つになる、とも言えるだろうか。この点も含めて、なかなか衝撃的な乗り物だと思う。

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