martes, 1 de marzo de 2016

密度の高い思考形成の現場へ(『レネ・サバレタ・メルカード全集』完結)

ボリビアの20世紀を代表する政治思想家レネ・サバレタ・メルカード(René Zavaleta Mercado)の全集の刊行が、国内の出版社Plural Editoresによって、2015年に完結した。

最後の第3巻は、それ自体が第1部と第2部の二冊に分けて刊行された。ジャーナリストとして新聞に執筆していた論説記事(第1部)、本人へのインタビューや授業シラバスなど(第2部)、それまでの2巻に収められた単行本や論文以外の、雑多な書き物が集められているのがこの巻だ。

まだ目を軽く通している段階なのだが、この第3巻は貴重な貢献だと思う。編者が前書きで、まだすべてを発見し収録できたわけではない進行形の全集であると断っているが、それでも現段階としての重要性をもっている。

そもそも、第1巻および第2巻を通じて、著者の様々な時代の作品が通覧できる形になったこと自体が大きかった。サバレタの思想は、ナショナリストの前期、正統的なマルクス主義の中期、そして異端マルクス主義の後期へと分類することが一般的だ。しかし、実はサバレタが形成した概念とその背後にある社会の見方には、前期から後期まで通して取り組まれ ているものがあり、全ての期が一冊にまとまることで、生涯を通じたある種の連続性もまた見えてくるように思うのだ。

第3巻では、特に新聞への寄稿で、そのときどきの具体的な問題や事例をもとに自らの思考を展開している。全集の編者も指摘しているが、サバレタの特徴は新聞への寄稿でも平易な表現を使わないことにある。それは逆に言うと、具体的な事例からサバレタが自らの抽象的な政治的思考を練り上げていく、その瞬間が垣間見えるということである。また、第2部に収められている、晩年(1970年代以降)のメキシコでの授業シラバスに目を通すと、何に対抗しながらサバレタの問題関心が定位されていくのかを見出すことができる。(ざっくりいうと、従属論(teoría de dependencia)に対し、いかにそれぞれの社会の自律性と主体性を見出すかについての闘いだった、ということを再確認した。)

つまり、単行本や論文において密度高く展開される抽象的な思考が形成されていく、その現場を、ある程度まで後から来た世代の我々が追体験できるのではないかという期待を抱かせてくれるのだ。

それにしても、この全集に限らないのだが、なぜか一回の刊行部数が少なく、すぐに本屋から姿を消してしまう。 せっかく刊行されたのだから多くの人の手に渡ってほしい。私は私で、出版元が直営する本屋も含めてなかなか見つけられず、いろいろな本屋や古本屋を訪ね探し歩いた。なんとか見つかってよかった。出版元によれば、次の刷りまでは少し時間がかかるらしい。




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