僕が住んでいるところは、だいぶ街外れに近いのだけれど、中心部にある図書館から毎回30分ちょいの道を歩いて戻っている。クスコの中心部の夜はやはりきれいだ。観光客がいようとなんだろうと、大きな石組みの土台が両側を囲む小道は圧倒的だし、浮かび上がる数々の教会をくぐり抜けて、市場の脇でたくさんの人々が帰りのバスに群がるところをかき分けて、歩く歩く。
だからこそ、クスコのサントドミンゴ教会を、その土台をなすインカの神殿コリカンチャとともに、爆弾テロを仕掛けて吹っ飛ばす構想に、同じくらい共感してしまう。アイマラの無政府フェミニズム組織の女性が主人公の、Alison Speddingという人が書いたこのボリビアの小説は、まさにこの場面のせいでペルーでは発禁処分になっているらしい。(ただしそもそもボリビアで出版された本は、ペルーでは基本的に手に入らない。)社会変革を拒む抑圧の機構が、ペルーでは幾重にも人々を取り巻いている。(ただしボリビアの状況がましだと言っているわけではありません。)
ちなみにこの小説では、独立戦争を始めたアイマラの人々は、アメリカ合衆国によってエルアルトに原爆を落とされる。そして国際的に封鎖された後は、組合組織(Sindicato)が宇宙船の操縦によって必要な外貨をもたらすのだが、その宇宙社会ではなぜかTrade Japaneseなるものが公用語になっている、という謎の日本モチーフが連続します。アイマラ語とスペイン語で書かれたこのSF小説は、De cuando en cuando Saturnina: Una historia oral del futuroと題されています。ボリビアではとても評判がいいので、見つけた方はぜひ。
(8月26日追記:ボリビアに戻ってみると第2版が出ていました。)
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