谷の筋が一つ違うだけで、アンデスの山はまったく違う姿を我々の目の前に現わしたりする。なだらかな斜面と急な斜面、どれだけの高度差を上り下りするか、切り通しの場所や谷の筋の配置され方、途中の作物や集落の生業のあり方など。
ラパス市の守り神であるイリマニ山(写真)とムルラタ山を正面にのぞみ、それらに抱かれながら谷をひたすら下り続ける。
するとイリマニの麓で、氷河から流れ出る水に恵まれて、湿気を身の回りに濃く感じる小さな集落へと出る。トウモロコシや果物がふんだんにある楽園のようなところ。
むかし飛行機の上から、こんなところにも村があって、自分が行くことはあるだろうかと思ったりしていたところで、今はアイマラ語の口承文学の調査をするまでになった。ラパス市から3時間以上かかり道も悪いこの場所は、とても遠い印象があったのだが、気候と水の条件の良さから17世紀の植民地時代には既にスペイン人のアシエンダ(大農園)が存在した記録があると、先日別の研究者の方に教えてもらった。スペインとアンデス先住民の歴史は、ここでも複雑に地層をなしながら、現在があるのだった。
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