viernes, 10 de agosto de 2012
アンデスの織物と学術の遥かな高みと
私のアイマラ語の先生のグループの新刊が出て、今日はそのプレゼンだった。
Denise Y. Arnold y Elvira Espejo. 2012. Ciencia de tejer en los Andes: Estructuras y técnicas de faz de urdimbre. La Paz: Instituto de Lengua y Cultura Aymara.
アンデス諸国の、そしてアンデスの織物を扱う外国の博物館における、説明や陳列方法に大きな影響を与えるのではないかという前評判が高かったこの本。今日買ったばっかりなので、あくまでもプレゼン自体の感想として書き留めておきたいことがあった。
(わたしは実は織物のことは殆ど分かりません。その上でということでの考えたことです。)
アンデスの織物を芸術(arte)ではなく科学(ciencia)としてみるところには、おそらくテレサ・ヒスベルト(Teresa Gisbert)に対抗した自分たちの方法の位置づけがあるだろう(メイン・タイトル)。しかしながら、それ以上に衝撃的だったのは、副題の「構造(estructura)」と「技術(técnica)」について、Deniseが、アンデスの用語に基づいてその理解の中身を完全に塗り替えたと発言したことだ。それはもちろん、ケチュア語とアイマラ語の理解に基づくということだ。それは人類学の仕事の本流であるが、目指すというのを越えてそれをやったというのは、そう簡単に言ってのけられることではない。背筋に戦慄が走るような感覚を味わう瞬間だった。
安易な全体化に対して強い警戒がなされるこの時代に、それでもアンデスの織物文化全体を体現してしまうような、そういうことがある。私と同世代のElviraは、自身の出身地域であるオルーロ県とポトシ県の境界地域の織物にとても詳しくかつ上手で、絵も描き、歌も歌い、詩も書く多彩・多才な人なのだが、文献上現代のものとされていても実はとうの昔に存在しなくなっていた幾つもの織物の技法を、説明や考古学的資料だけを頼りに、三年間にわたって自ら再現しようと格闘を続けたという。
織物の人類学的研究が、ケチュア語とアイマラ語が使えるだけでなく、自分でやってみるということを含めてはじめて成り立つようになった、非常に重要な瞬間に私は立ち会っているのかもしれない。
研究者の知り合いの中で、同時代を生きていても実際に会って会話することよりも時折発表される仕事を通じて大きな影響を受けることがあって、この人たちの仕事は私にとってそういう意味合いが強い。私のもう一方での師匠のシルビア・リベラ・クシカンキが、この社会をどう自分が生きていくかという批判的実践精神に貫かれているとするならば、Deniseのグループの仕事は学術の遥かな高みを踏破し続けていて、逆説的にそれによって極めて現実に役立つ仕事になっている。
外から見ているのではなくて、自分がこの遥か先を進む人たちと同じ集団の中にいるようになって嬉しいと思う、そういうある日の夜の催しであった。
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