今週一週間は、JALLA(Jornadas Andinas de Literatura Latinoamericana:ラテンアメリカ文学をめぐるアンデス会議)という国際学会がボリビアのラパス市で開催されていた。もともとラパス市で立ち上げられた学会で、久しぶりに戻ってきたのだという。初日の幾つかの面白そうなセッションには出られなかったのだが、アンデス口承史工房(Taller de Historia Oral Andina)の一員として私も参加した。
参加していると、当然のことながら良い面も悪い面も見えてくる。
狭い意味での大学研究者の外側へと広がりをもち、高校や教員養成学校の教員や在野の研究者たちが国境を越えて参加していて、これはラテンアメリカで実施される地域ベースの国際学会の良いところだろう。また、人文系の学問では、特に大学を単位取得卒業(egresar)した後でも、卒論やら何やらで人々が比較的長い期間を大学周りに留まるので、学会とアカデミズムに関心を持つ層が比較的分厚い(日本よりも分厚いんじゃないだろうかと思うくらいでもある)。
我々のセッションも、教員養成専門学校の教員周りや高校生たちとその教員による人形劇などと組み合わさって、聴衆の中には何と高校生の集団もいたという、なんとも楽しいものであった。
ただの学究という方向を目指すよりは、そのような猥雑な雰囲気の中から大事だと思える課題と精神(スピリット)とをくみ取っていきたいなと思う。
ただし、業界内の分断は相変わらず存在する。アンデス文学の世界でも研究者は内向きのグループを作り、先住民の世界に足を踏み入れない。そして、その境界を越えようとした作家や評論家が神格化され、
カノン化され、それはその内向きのグループを守るように働く。僅かな例外を除いて、ウソみたいな文化的解釈がまかり通り、誰も疑義を挟まない。
もちろん、先住民文化の様々な側面が死に絶えた史前の遺物としてのみ価値づけられ、位置づけられていた20世紀前半からは、大きな変化なのだろう。しかし、社会の分断は確実に存在し、それは学会のプログラムにも確実に現れていた。
でもその中で、ボリビアは下から突き上げて自分たちで別のセッションを作っていこうという動きが盛んで(我々のセッションもその一翼を構成していて、そもそも参加すべきかどうかでかなり議論があったようだ)、それが一筋の風を吹き込んでくれている。
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