アンデスの豊穣の神であるエケコ(上の写真)が司るミニチュアの祭りアラシータス(alasitas)が24日(木)から始まった。これはこのあと一ヶ月くらい続いていく。
物質的な富の蓄積を願って、欲しい物のミニチュアを購入するという独特な工芸品のお祭りで、商店の商品セット、日常生活の必需食料品セット(小麦粉とか砂糖とか)、現金紙幣(ドル、ボリビアーノス、ユーロ)、家、建築途中の敷地と柱とセメントや漆喰のセット、車、トラック、スーツケース、大学の学位証明書など、所狭しと物と人がひしめき合う。豊穣のお祭りらしく、ミニチュアのパンやお菓子やサルテーニャ(ボリビア名物のパンの包み焼き)なども売られる。
しかしこのお祭り、先ほどのエケコ以外にも宗教的なモチーフが顔を出す。買ったミニチュアの工芸品は、初日の正午近辺で民間呪術師にアルコールなどを振りかけながら祈祷をしてもらう(ch'allar)と効果が出ると言われていて、従ってこの時間帯はものすごい混雑するのだが、それだけでもない。
一つはこの蛙の存在だ。蛙は金をもたらす動物だとされていて、蛙自体が売っていることもあるし、先ほど挙げた現金紙幣などはとっても小さい蛙が一緒に付いてくるものがあったりする。
蛙は蛇と近い存在で、これらの地面を這うような位置にある動物たちは、地面の「中」の世界(manqhapacha)に棲みついていると考えられている。これは鉱山の中だけではなく、地表すれすれやアンデス高地から見て標高の低い方の地も、その世界を構成していると考えられるように思う。実際、私の友人によれば、蛙は鉱山をつかさどる神であるティオ(tío)の傍にいる存在でもあるらしい。
(追記:別の友人によれば、蛙は雨が降ると出てくるので豊穣のイメージと関連付けて捉えられているともいう。)
これは豊穣の鍋(olla de abundancia)と言われて、素焼の鍋から富が溢れ出てくる。
この屋台は典型的な蛙と蛇の組み合わせなのだけど、同時に最近のアンデスでは「干支(えと)」という考え方が実は大流行していて、かなりの人が今年が蛇年だということを知っている(例えばこの上の写真)。そして蛇は金をもたらしてくれたりもするので、これは中国とアンデスの興味深い出会いものになっているなと思いながら、私は屋台を巡っていった。この貪欲に取り込んでしまう感じも楽しい。
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