生け花の中でも伝統花と呼ばれる生花(せいか)を始めて、何度目かの春が回ってきて、何度目かの(たぶん三度目の)桜がやってきた。
伝統花というのは不思議なもので、型が厳密に決まっているので、最初は生けるときに先生と二人三脚になる。というか、ほとんど先生が生けているような形になる。そうやって、自分を開いて他人の形を受け入れていく。しかしながら、ほとんど先生が生けていても、なぜか最終的な花には自分の何かが既に出ている。
何度目かの季節が回る間に、自分でやることが多くなっていく。ひとり立ちに向かうということかもしれない。しかし、先生とこれかあれか考えながら枝を選んでいく間に、あるいはそれこそ人の作品をチラッと見るそのときに、型を受け入れてしかしそれを自分のものにしていく。
うーん、ここだよここ、いいねえ。そう思いながら入れていく枝は、自分と花の両方の心が映し出されるだろうか。
街の桜は開花まであとちょっとだが、ほんの一足先に、この枝々が季節を先取りしてくれた。
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